第12章 終幕
「主、顔が真っ赤だぜ」
「うるさい、もう、お前ほんと」
鶴丸国永と恋仲になってからというものの、男に対する鶴丸国永のデレがすごい。
それはもう、本当に。
歯の浮くような台詞を言うこともあれば、他のものが見ているというのに抱きしめてきたり、頬や額、髪にキスをしてきたりと、何と言うか嬉しいや恥ずかしいを通り越して困る。
きっと周りの刀剣男士も気づいているだろうに、あえて触れてこないところが何とも言えない。
この間たまたまキスしているところを目撃した平野藤四郎に、「な、何も見てませんので!どうぞ続けてください!」と言われた時は本当に居た堪れなかった。
けれど、何が一番困るって、自分が嫌ではないということだ。
こうやって甘やかされている時、もちろん恥ずかしいという思いもあるのだが、何より幸せで単純に嬉しい。
「あるじ」
鶴丸国永に呼ばれて、顔を上げる。
すぐそばに、金色の瞳。
こんなに間近で見てかっこいいって何だよ。
男は鶴丸国永の顔に滅法弱い。