第2章 演練
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石切丸による説教をなんとか終えた頃には、亥の刻を過ぎていた。
薬研藤四郎が慌てて湯殿へ向かい、それに続いて石切丸とにっかり青江が湯殿へ向かう。
男は正座のせいで痺れた足を、まだ動かすことが出来ずにいた。
情けないことこの上ない。
どうしてああなったのか、経緯をまとめるとこうだ。
夕餉の後、一期一振は鶴丸に湯殿に連れて行かれ、そのまま身体を洗いある程度浸かったところで出たらしい。
問題は脱衣所で起きた。
一期一振がパンツを穿こうとすれば、もってきていた筈のパンツがなく、代わりにあったのがあのパンティだったそうな。
犯人なんて分かりきっている。鶴丸国永だ。
あの鶴丸殿!の叫び声はこの時のものらしい。
その後自分のパンツを取り返した一期一振は説教をしようとしたが、そこで鶴丸国永との鬼ごっこが始まった。
では何故パンツを放り投げたのかと聞けば、あの問題児は悪びれもなく言った。
驚きをもたらそうと思ってだな、と。
ここで石切丸のげんこつが落ちたのは言うまでもない。