• テキストサイズ

とうらぶっ☆

第11章 閑話休題:鶴丸国永



「あれは、その…、きみが三日月と口吸いをするから…」

言ってから、鶴丸国永は顔が熱くなるのを感じて口元を手で隠した。
じいと自分を見つめる男が視界の端に映る。
数秒おいてぶわりと染まるかんばせに、鶴丸国永は更に恥ずかしくなってもう俯くことしかできない。

これはないだろ、情けすぎるだろ。
口吸いに嫉妬したって、それであんなことを口走ったなんて。
俺は子供か。ああかっこうわるい。

「…つる」

不意に、震える声で男が呼ぶ。

「なんだ?」

鶴丸国永は、できるだけ平然を装って先を促した。

「もういっかい、好きって言って」

ぽすん、と男は鶴丸国永にもたれ掛かってそう言った。
鶴丸国永はそれに僅かに驚きながらも、男の髪を梳きながらもう一度主の望む言葉を口にする。

「好きだ」
「もういっかい」
「好き」
「もっと」
「好きだよ」
「まだ、足りない」

まるで、今までをうめるかのように。

鶴丸国永が男の要望に応えるように好きだと口にすれば、男はまだ、もっと、と更に強請ってくる。
きゅっと控えめに鶴丸国永の着物を掴むその動作が愛らしくって、鶴丸国永は額にキスを落とした。

/ 286ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp