第11章 閑話休題:鶴丸国永
いとしいなあ。
あふれかえる気持ちを噛み締めていれば、男が鶴丸国永に抱きついてきた。
それを難なく受け止めると、男が鶴丸国永の方を見上げてはにかむ。
「つる、好きだよ」
「ああ、俺もだ」
目元を赤く染め、男は幸せを滲ませるように口元を更に緩める。
鶴丸国永にとってそれは、もうどうしようもない位かわいくってかわいい。とにかく可愛いもの以外の何でもない。
どちらともなく目が合えば、そのまま自然に二人の距離は零になる。
重なる唇は柔らかくて、涙に濡れたせいか少しばかり湿っている。
触れるだけの口付けは、鶴丸国永の中にある欲望に火をつけた。
その唇を舌で割って、歯列をなぞって、上顎をくすぐって、それからきっと薄いであろう舌を吸って。
身体を暴きたいと言えば、目の前の主はどんな反応をするだろうか。
そこまで考えて、鶴丸国永は今しがた想像したことを頭の隅に追いやる。
目の前で口づけの余韻に浸る男は、至極幸せそうでその瞳はとろんと溶けている。