第11章 閑話休題:鶴丸国永
「だって…!鶴丸、一期といるときすごい楽しそうだし、一期のこと特別扱いしてるし、いっぱい構うし…!」
そういうことか。
鶴丸国永はようやく合点がいって、肩から力を抜いた。
「確かに一期一振のことは好いているが、そうだなあ、一期に対する好きは、主が山姥切に対する好きと同じようなものだ。」
「国広と…」
ぱちりと男が瞬きする。
その度に溢れる目の縁に溜まった涙とまつ毛についた雫がきらきら光って、鶴丸国永はやはり主の涙は宝石のようだと思った。
どうやら納得してくれたらしい男は、しかしまだ何かあるようで何度か口を開閉する。
それから意を決したように、小さな声で尋ねた。
「……じゃあ、なんで俺のこと軽蔑したんだよ」
今度こそ、鶴丸国永は言葉に詰まった。
聞かれるだろうとは思っていたが、あの時のことは今思い出せば恥ずかしくて出来れば言いたくない。
燭台切光忠に言わせればかっこうよくない理由なわけであって、そんな側面を惚れた相手には見せたくないのだ。
けれどそれを答えないで男が傷つくのは本末転倒なので、結局は口を開くのだが。