第11章 閑話休題:鶴丸国永
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六畳一間のにっかり青江の部屋には、沈黙が降っていた。
鶴丸国永はどうしたものかと、今日何度目かの吐きたくなるため息をぐっと飲み込んだ。
鶴丸国永の前に座る男は、正座をして見るからに固くなっている。
男の心中は、さぞかし気まずいことだろう。
それに負けず劣らず、鶴丸国永の心中も気まずいわけだが。
やはりここは、自分から切り出すべきだろうか。切り出すべきだよなあ。
と、先ほどから自問自答を繰り返しては、なかなか口を開けないでいる。
自分から話すとして、何から話そうか。
いざこうしてふたりきりになると、今まで考えていたことだとか、言ってやろうと思っていた文句だとか、自分の気持ちとか、ぜんぶ、そのすべてが重く感じて心の底から離れてくれない。
らしくもなく緊張しているのか、口の中は渇き、舌は鉛のようだ。
言葉を紡ぐために舌を動かしたものなら、ばりばりと音がしそうなほど。