第11章 閑話休題:鶴丸国永
「…二回目に振られたときにさ、鶴に言われたんだ。本当は好きじゃないんじゃないかって。」
「そりゃあねえよって、何でお前がそんなこと言うんだよって。俺は好きでもない男にキスなんてしねぇのに。」
男の絞り出すような声に、胸がつきんと痛む。
心臓がある辺りに布越しに触れながら、鶴丸国永は自嘲的な笑みを浮かべた。
あの時のことは、出されると弱るなぁ。
三日月に妬いたんだ。
嫉妬という感情があれほどのものとは思わなかった。
きみは、まだ傷ついているのだろうか。
傷ついてるんだろうな。
主が俺たちに真摯であることは、俺だってちゃんと知ってるのに。
「むかつくし、もう何で好きなのか分かんねーときもあるのに、それでも性懲りもなく好きなんだ。まだ、好きになっていくんだ。」
鶴丸国永は、男の言葉に息を呑んだ。
油断すれば溢れそうになる想いを、口をきゅっと結んで心の中に留める。
俺だって、きみが好きだ。
ああどうしよう。今、たまらなくきみを抱きしめたい。
抱きしめて、甘い言葉を囁いて、口を吸って、どろどろに甘やかしてやりたい。
俺だって一緒だ。
まだ、きみを好きになる。深みにはまっていく。