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とうらぶっ☆

第11章 閑話休題:鶴丸国永



「つる……?」

不意に、今にも消えてしまいそうな声がして、鶴丸国永は手を宙ぶらりんなまま止めた。
男の方を見れば、瞳はとろんと熱のせいで溶けており、下がった眉がいつもより格段と男を幼くさせる。
鶴丸国永はもう一度ペットボトルへ手を伸ばし、それを片手にもう片手で男の頭を撫でた。

「ああ。すまんな、起こしたか?」

鶴丸国永がとびっきり優しい声で尋ねれば、男はゆるゆると首を振る。
ぼうと焦点の合わない瞳を見るに、意識は半分夢の中といったところか。

「水を足しに行くが、他に欲しいものはあるか?」

鶴丸国永の問いに、男はもう一度首を振った。
けほん、と咳がでる。
あまり話しかけてやるのもしんどいか、と判断して、鶴丸国永は男の頭をもう一度撫で立ち上がった。
水をくんでくる、と言おうとして、くんと着流しの裾を引っ張られる感覚。
驚いて振り向けば、男が引っ張っていた。
鶴丸国永を見る目が先程より一層濡れて、ついに涙が溢れる。
鶴丸国永はぎょっとして、言葉もでない。

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