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とうらぶっ☆

第11章 閑話休題:鶴丸国永



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「主の様子はどうだ?」

陽が下がり、月が姿を現し始めた頃。
鶴丸国永は、男の部屋を訪れた。

つい数刻前、男と刀剣男士との間で一悶着があった。
きっかけは、五虎退だ。
どうやら今まで我慢していたものが決壊したようで、それが伝染するように粟田口から蛍丸、加州もそれまで溜めていたものを吐き出した。
そこに時期が良かったのか悪かったのか、男が現れたのだ。
男を目にした途端、それまで何ともないように思えた山姥切国広がキレ、そこからはもう知っての通り。
互いにぶつかり合ったあと、無事男と刀剣男士との間にあった壁は壊され、また彼らの胸のうちに巣食う不安や不満も取り除かれた。
そうして全てが落ち着いたと安心したのも束の間。
恐らく食事も睡眠もまともにしていなかったのだろう、男は加州清光の腕でぐったりと意識を手放したのだった。

今に至るまでのことを思い出しながら床に腰を下ろせば、堀川国広が男の額に冷水で濡らした手拭いを置きながら言う。

「うーん、今のところは何とも。今晩が峠かなぁ…」

堀川国広の視線の先、寝ている男の呼吸は浅くこめかみには汗が浮かび、その頬は熱で赤く上気している。
鶴丸国永は、男の苦しそうな様子に自分までもが苦しくなる気がして、きゅっと唇を結んだ。

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