第11章 閑話休題:鶴丸国永
鶴丸国永がうんうんと悩んでいれば、三日月宗近の部屋の襖が開いて平野藤四郎が現れた。
「鶴丸さん、三日月さん、歌仙さんが羊羹をお二人にと。よろしければお茶のおかわりも淹れましょうか?」
「おお!それはありがたいなあ。いただこう。ああ、それから鶴丸」
「…なんだよ」
「俺が心配ないと言ったのは、お前がついているからだよ。」
ぽとと、と平野藤四郎が丁寧にお茶を注ぐ音を聞きながら、鶴丸国永はまたもや意味が分からず瞬きをした。
「お前が主のそばに心ごと寄り添っていれば、あの人の子は折れたりなぞしないということだ。」
にっこり、とその名に恥じない美しい笑みを三日月宗近は浮かべ、羊羹を一切れ口に放った。