第11章 閑話休題：鶴丸国永

「……主が好きなんだ」

小さく、息のような言葉だった。
三日月宗近は瞳をぱちぱちさせて、首をこてりと傾げる。

「それは知っているが？」
「きみ分かってて言ってるだろう…」
「はて、何のことやら」
「……俺は主のことが、だから…、そういう意味で好きなんだって」

最後は半ばやけくそだった。
どうして己の気持ちを第三者に言わなければいけないのか。
しかも相手はよりによって三日月宗近ときた。

「ふふ、よきかなよきかな」

よきかなじゃねぇよジジイ。
鶴丸国永はぼそっと呟いた。

「ずっと悩んでおるとは思っていたが、ようやっと気づいたか。鶴は変なとこで鈍いなあ」
「は？三日月気づいてたのか？」
「まあな。さて、これで心配ごとはなくなったも同然。あとは流れに身を任せるか。」

肩が凝ったわ、などと言ってバキバキ首を鳴らす三日月宗近に、鶴丸国永は理解が追いつかずに置いてけぼりになる。

いやいや、問題はなにも解決してないだろう。
というか今日俺の話しかしてないな？
俺は意味が分からないんだが？

頭の中は疑問と突っ込みでいっぱいである。