第11章 閑話休題:鶴丸国永
「さて鶴よ、もう一度問う。今の主は好きか?」
三日月宗近が問う。
鶴丸国永は三日月宗近の真意はどこにあるのかと、金色の瞳を細めて探るように見つめた。
静寂が冷たさをさらに鋭くさせて、ふたりの間に漂う。
「答えれぬか」
「…きみは何を企んでる」
「企む?なにも企んではおらぬ。言ったであろう、主が心配だと。果たして刀剣の不満が溢れるのが先か、主が気づくのが先か。なあ、鶴。」
うっそりと笑む三日月宗近に、鶴丸国永は唇を噛んだ。
それから数秒おいて、観念したように片手を上げ降参だと口にした。
「分かった。きみが知りたいのは俺の本心だろう。」
「なんだ、気づいていたのか」
「……いや、今気づいた」
頬杖をついてふてくされる鶴丸国永に、三日月宗近はほくほくと満足げに笑う。
「鶴はこうでもせんと言わぬだろう。いやあ、楽しかった。」
「三日月は本当に意地が悪い。」
「はっはっは、そう言うな。しかし俺が言ったことも事実。」
「分かっているさ」
鶴丸国永はまだ納得がいかないと言った顔でため息を吐いた。