第11章 閑話休題:鶴丸国永
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雪が、降り始めた。
鶴丸国永は、三日月宗近の自室から外を眺めた。
ちらほらと降る雪は美しいはずなのに、どこか不気味に思えて思わず顔を顰める。
「今日は雪か、最近の天気はすぐに変わって困るなあ…」
そう愚痴をこぼしたのは、三日月宗近だ。
それに鶴丸国永は全くだと同意しながら、先ほど平野藤四郎が淹れてくれたお茶をすする。
「して、一期の様子はどうだ?」
三日月宗近が、湯呑みを手に尋ねる。
鶴丸国永は三日月宗近ではないどこかを見ながら答えた。
「もう大丈夫だろう。初めは取り乱していたが、今じゃそれも落ち着いた。」
「そうか…、それはよかった。俺は一期がいつか自分を責めるあまり堕ちてしまうのではないかと心配していたのだが、杞憂だったか。」
「一期はそんなに柔じゃないさ」
「はっはっは、それもそうだな」
朗らかに三日月宗近が笑って、湯呑みに一口くちを付けると、ことりと音を立てて机に置いた。
ふるり、と、伏せた睫毛が震える。
三日月宗近の顔から笑みが消えて、鶴丸国永は本題はここからかと察した。