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とうらぶっ☆

第11章 閑話休題:鶴丸国永



「参ったな…」

明日から、どんな顔をすればいい。
以前のように何も知らぬ振りをしてなかったことにするか。
それとも、ちゃんと向き合うべきか。

では、向き合うとは?

主の想いに応えることか?
それとも、正面から主の想いには応えられないと言うことか?
むりだ。どちらも今の鶴丸国永には選べない。
自分の気持ちを偽ることなどできないし、その行為は男を余計に傷つけるだけだろう。
後者にしたって、主はきっと傷つく。
男を傷つけたいわけじゃない。
悲しむ顔が見たいわけじゃない。

ああ、人のこころというもののなんと難儀なことか。

不意に、鶴丸国永の脳裏に日中の光景が蘇る。
縁側でかき氷を食べていたときのことだ。
三日月宗近が、男に強請る。
舌を見せてはくれまいか、と。
それに男は、なんの躊躇もみせず従った。
そうしたら、どうだ。
ぺろりと、三日月宗近が男の舌を舐めたのだ。

そのときを思い出して、鶴丸国永は眉を寄せる。
何故だか、あまり良い気分ではなかった。

だいたい、主も主だ。
男はいつも、三日月宗近にあまい。
ああやって三日月宗近がわがままを言うのも、主があまやかすからであって…。

そこまで考えて、鶴丸国永は目を伏せる。

ちがう、これじゃあまるで…。

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