第10章 雪解け
「俺が一期を…?」
「うん」
「好き?」
「うん」
「それはあれか?恋仲になりたいとか、そういう恋情のものか?」
「うん」
「んんん?!」
だからどうしてそうなった。
鶴丸国永には男の言っていることがどうしても理解できず、ううんと唸ることしかできない。
「だって…!鶴丸、一期といるときすごい楽しそうだし、一期のこと特別扱いしてるし、いっぱい構うし…!」
そういうことか。
鶴丸国永はようやく合点がいって、肩から力を抜いた。
「確かに一期一振のことは好いているが、そうだなあ、一期に対する好きは、主が山姥切に対する好きと同じようなものだ。」
「国広と…」
ぱちりと男が瞬きする。
その度に溢れる目の縁に溜まった涙とまつ毛についた雫がきらきら光って、鶴丸国永はそれを宝石のようだと思った。
どうやら納得してくれたらしい男は、しかしまだ何かあるようで何度か口を開閉する。
それから意を決したように、小さな声で尋ねた。