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とうらぶっ☆

第10章 雪解け



あれほど追いかけてくるくらいなら、何か話しがあるのだろう。
ならばと男は、鶴丸国永が口を開くのを待つことにした。

足を崩して胡座をかけば、爪先にまで一気に血が流れる感覚。
それと同時に強張っていた筋肉がほぐれるのを感じて、男は力を抜く。
ごそごそと楽な姿勢を探り終えた頃、男は視線を感じて正面に座る鶴丸国永の方を見た。

彼のきれいな金いろの瞳が男を捉え、男は身動きができなくなった。
何度見ても美しい彼の人の姿は、きっと見飽きることも見慣れることもないのだろう。

そんな漠然とした確信を持ちながら、男はぎゅっと膝の上で強く手を握る。
指先は冷たいのに、手のひらは汗ばんでいた。

「主に、聞いてほしいことがあるんだ。」

静かに、鶴丸国永はそう言った。

男は聞かなければと思うのに、もしまたあの様なことを言われたらと思うと、頷くことができなかった。
そんな男の様子に気づいて、鶴丸国永が困った様に笑みを浮かべる。
ふわりと和らいだ空気に、男はそれでも不安気に瞳を揺らす。

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