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とうらぶっ☆

第10章 雪解け



「つるまる?!」

そう、そこにいたのは誰でもない鶴丸国永だったのである。

男は咄嗟に着流しを背中に隠して、ぎこちない動きで身体を鶴丸国永のほうに向けた。
もしかして見られていたのだろうか。
まさかの危惧していたことが起こり、男はとりあえず笑ってみた。

「…………」

しかしながら無反応である。
男の顔からも笑みが消えた。
この時の心情を一言で表すならば、終わった、である。
恐らく目が据わっていた。

流れる気まずい沈黙に痺れを切らしたのは、男の方だった。

「…なにか用か?」

ずいぶん、素っ気ない声だったと思う。
そんなつもりは無かったのに、この場から逃げたい一心で出たものは我ながらひどい。

「…い、や」

つまり詰まりに、鶴丸国永が言う。
彼がこうして吃ることは何とも珍しいことだった。
やはり見られていたのだろうか。それなら引かれた。
かわいい女の子ならいざ知らず、男はまごうことなき男だった。
挙げ句の果てに、二度も振られている。
そんな相手に自分の着ていたものを嗅がれるなど、どう足掻いても好意には繋がらない。

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