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とうらぶっ☆

第10章 雪解け



男はぐ、と眉を寄せる。

考えてもみろ、ここに今この瞬間に鶴丸国永が現れる可能性なんて何パーセントもあるか?いやない。
男が避けているのに気づいているのか気づいていないのかは分からないが、彼も最近男に過剰に関わってくることはなかった。

なら、大丈夫なのではないだろうか。
いやきっと大丈夫だ。
ということはこの着流しに顔を埋めて思う存分鶴丸国永を堪能できるということ。
なんてすばらしい。

そうと決まれば早速。いざ!

男は迷いを振り切り、着流しに顔を埋めた。
胸いっぱいに息を吸えば、まるで鶴丸国永がすぐ側にいるように感じる。

「つるまるの匂いだ…」

男は思わず呟いた。
一度着流しから顔を上げ、もう一度だけ、と顔を埋めようとした時だ。

「主…?」
「はいっ?!」

突然声をかけられ、男はびくりと大袈裟に肩を揺らす。
裏返った声が恥ずかしい。
男は条件反射で、手に着流しを握ったままぐるんと勢いよく振り向いた。
そしてその姿を認めて、目を見開く。

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