第9章 思い出を辿る
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最後の目的地である喫茶店でのパフェを食べ終えたふたりは、人気のない公園に来ていた。
久しぶりに食べたパフェは男を満足させ、へし切長谷部はあまりの甘さに最後の方は頭痛と戦っていた。
その姿を見て笑う男は、どこまでも無邪気で子供のようであった。
ころころと笑う己の主を見て、へし切長谷部はたしかに己の心が満たされるのを感じていた。
公園に行こうと言い出したのは男であった。
日も傾いてき、空にはうっすらと白い月が見えている。
夏は日が長くて何時か分からなくなるからいけない。
一通り公園の遊具で遊んだ男は、ベンチにどっかりと腰をかけた。
額にはうっすら汗をかいており、いかに真剣に遊んだかが伺い知れる。
ついでにへし切長谷部はというと、ただひたすら主が怪我をしないかとひやひやしながら見守っていた。
「だめだなぁ、年をとると体力は落ちるしこれ絶対明日筋肉痛だわ。」
男が小さい頃訪れた公園とは違うが、それでもこういった場は懐かしく感じる。
子供の頃なら大きく感じたジャングルジムも、今となってはすぐに登り終えてしまうし、あの頃のようなドキドキ感は失われてしまった。