第9章 思い出を辿る
つまり、審神者業というのは案外快適だというわけだ。
もちろん、人によって感じ方は様々なので嫌だという人や自ら辞職する者もいるが、男はそれほど苦を感じたことはない。
そんな規則の中で男が一等驚いたのが、現代に好きに行き来できるということである。
好きに、と言えば少々誤解が生まれるが、行きたければ政府に申請さえ出せば行けるのだ。
その時に親戚や友人、知人に会うのは禁止されているので、ある程度政府の監視が付いてくることもある。
またこれを破って家族に会いに行ったりでもすれば、審神者は社会的に消されるそうなのだが(ついでに言えば、審神者という職業がどんなものなのか等口にした暁には、その秘密を知った者も一生政府に監視され生きていかなければならない)。
話が逸れたが、とどのつまり男がへし切長谷部と現代に行くことはまあ大丈夫なわけであって、政府に申請も出し終えているから、後はへし切長谷部を誘うだけなのである。