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とうらぶっ☆

第8章 崩壊



「べつに…」

ふいと顔をそらされ、素っ気なく返された言葉にも、男は満足気に笑う。
それだけで十分だった。
そうして二人でしばらく談笑(と言っても男が一方的に喋ってばかりだったが)していると、眠っていた山姥切国広が目を覚ました。

「お、目ぇ覚めたか」

男が声をかければ、山姥切国広はぼうとした後、はっと我に返り男に駆け寄った。

「体調は?」
「ちょっと怠いけど、だいぶマシだ。今はとにかく腹が減ったかな」

心配そうに聞く山姥切国広に、男はもう大丈夫なのだと笑って伝える。
しかし山姥切国広の表情は変わらず、男は首を傾げた。

「すまない」

す、と山姥切国広が男の頬に手を添え、謝罪を口にした。
男は一瞬なんのことか分からなかったが、すぐに殴られたことかと思い至る。
そんなの、男だって山姥切国広をぶったのだからあおいこだと言うのに。
男はふっと頬を緩めて、山姥切国広の頬に貼ってある湿布を見ながら言う。

「俺の方こそごめんな。それから、ありがとう。お前には色々迷惑かけた。」

出陣から遠征、そして恐らくこの出来た初期刀は、他の刀剣のことも気にかけていてくれたのだろう。
男のことに戸惑いつつも、間違っていると喝をいれてくれた山姥切国広には頭があがらない。

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