第2章 演練
戦いは均衡を極めた。
演練に呼ばれた審神者は、一人を抜き残りは大抵同じレベルのものが呼ばれる。
当然といえば当然といえようか。
それぞれが好きなように打ち込み、しかし互いにフォローすることは忘れない。
男は何度見ても、いつも刀剣男士が戦っている姿に目を奪われてしまう。
そして何度見たって、傷つく姿にはなれないし、慣れたくないと思うのだ。
程なくして審判が白刃戦を止める。
男は詰めていた息をやっと吐きだした。
結果はC勝利。
相手には重傷が五人。男側は三人だった。
男は審神者席から直ぐさま出、刀剣男士たちと合流する。
合流する頃には、傷も破壊された刀装も全て元どおりになっていた。
演練はそういう風にできている。
「お疲れさま。ほんとう、何回見ても圧巻されるよ。格好よかった。」
男が労わりの言葉とともにふわりと笑む。
それを受け取った男の刀たちも、嬉しそうに笑った。
彼らは主からの賞賛を何よりも好んでいたし、愛する主からの言葉はどんなものだって彼らの宝だった。