第2章 演練
「で、大将。どうすんだ?」
いつまでもこのままでは時間が過ぎてしまう。
痺れを切らした薬研藤四郎が男に問う。
「作戦に関してはお前たちに任せる。俺が出すよりやり易いだろうし。…何か気になることとかあるか?」
男が簡単な指示を出し、意見を求める。
それに手を挙げたのは、山姥切国広であった。
「相手には小狐丸がいる。」
「そうなんだよなあ。小狐丸ってまた珍しい刀だもんなあ。俺も何十回って演練してるけど、小狐丸は初めて見た。」
「主殿も初めてなのですか?」
「ああ。まあ、今まで何十回演練参加してて見なかったっていうのも可笑しな話だけど。」
「つまりは、小狐丸の実力や癖なんかは、うちの本丸にいる誰も分からないということだね。」
「そういうことだ。察しがいいな、石切丸。」
「ん?いやしかしだな、主。ちょっと待ってくれ。俺もそうだが、石切丸は小狐丸と刀の頃面識があるはずだ。そこから何か分かることもあるんじゃないか?」
「…鶴は本当に賢いな。思いつかなかった。」
「そう言われてみればそうだね。」
「おいおい、しっかりしてくれ。主はいつものこととして、ついに石切丸までぼけたのか?」
「はは、返す言葉もない。」
「鶴、お前さりげなく俺を貶すんじゃない。あー、えっと。じゃあ小狐丸は、石切丸と鶴丸に任せる。後のものは国広の指示に従ってくれ。」
男の出した指示にそれぞれが頷くと、丁度五分を知らせる笛がなった。
男は審神者席へと向かい、刀剣たちは相手と向かい合う。
審判の始めという掛け声が響いたのち、白刃戦が開始された。