第8章 崩壊
五虎退は虎三匹を見つけ終えたところで、一息つく。
三匹は大倶利伽羅のところにいた。
しかし後一匹がどこを探してもいない。
ほっとけば、そのうち出てくるのだろうが、もし誰かに迷惑をかけたりしたらと考えればそんな訳にもいかない。
五虎退は四匹の虎を見て、小さくため息を吐いた。
あと探していないのは、中庭と馬小屋、それから男の部屋だ。
男の部屋はできるだけ行きたくない。
優しくないわけでも別段冷たいわけでも怒っているわけでもない。
それでも、まるで全身で拒絶されているようで、もう、自分は、自分たちとは、これ以上関わりたくないと言われているようで。
今までが幸せだったぶん、そんな風に接されるのは五虎退にとって耐え難いことだった。