第8章 崩壊
一期一振と言えば、自分を責めているようだった。
いつも完璧な兄であるようにと心がけている彼だから、そうなってしまうのも仕方ないのかもしれない。
歌仙兼定は彼を一番気にかけていたのだが、男の命で鶴丸は一期につくようにと山姥切国広から伝えられていたから、一先ずは大丈夫だろう。
今剣を始めとする、三日月宗近、石切丸の三条派は、流石というか。
落ち着いて現状を見つめているようだった。
しかしそこにはただならぬ緊張感があり、今の彼らには少し近寄りがたい。
和泉守兼定と堀川国広は戸惑っているように思う。
主である男の変わりぶりと、それから薬研藤四郎のことに触れてもいいのか駄目なのか、他の刀剣男士に対しても接し方を測っているように見えた。
燭台切光忠は、他の刀剣男士をいちばん気遣っているようだった。
他を気遣いすぎて、自分のことが疎かにならないか心配だ。
蛍丸や小夜左文字は口数が少なくなったし、時折男のことを探るように見つめているのを歌仙兼定は何度か目にした。