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とうらぶっ☆

第7章 燃えて灰になる



「もう、いいんだ、主」

その声は囁きのようであり、震えていた。

「やめてくれ、このままではきみが倒れてしまう」

鶴丸国永は目頭が熱くなるのを感じて、ぐっと耐える。
こういうとき、己の主はよく唇を噛んでいた。
真似してみれば、なるほど、確かに涙はこぼれない。

「でも、やげんが…」

男は返す。
つたない言葉で、子供のような言葉で。

「あるじ、もう、無理なんだ。だめなんだ。薬研は、治らない。」

口を開けば、同時に涙がこぼれた。
鶴丸国永はこの本丸に顕現して二年以上経つが、泣いたのは初めてだった。
そんな鶴丸国永の声を聞きながら、男が呟く。

「なおらない…」

おうむ返しのようなそれに、鶴丸国永は頷いた。

「そうか、もう、なおらないのか…」

小さな声だった。
なんの起伏もない声だった。
鶴丸国永は背後から抱きしめたことを後悔する。
これでは、男の顔が見れない。

「やげんは、おれたんだな」

次に発した言葉の、言葉尻が情けないほど震えていた。
男は鶴丸国永の腕の中でぐるりと反転すると、顔を彼の胸元に押し付けて泣いた。
声を殺して、息をつめて、静かに泣いた。

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