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とうらぶっ☆

第7章 燃えて灰になる



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小夜左文字の傷は、かなり酷いものだった。
手伝い札を使ったおかげで手入れ時間はとらなかったが、男の霊力は一気にもっていかれた。
あの傷の様子だと、手入れで治ったとはいえもしかしたら熱が出るかもしれない。
急に死ぬくらいの傷が治ったことで、その反動とでもいうように刀剣たちは熱を出すことがあった。
けれどそれを体験したものは少なく、これほどの重傷を負ったものを見るのも一期以来であったし、それより以前となると一年以上も前のことかもしれない。

男はそこまで考えて、小夜左文字が言ったことを思い出す。

薬研が折れた。
質の悪い冗談だ。
小夜にもそんなお茶目な一面があるなんて。

男はなんとかして自分の納得いくような、仮初めの事実を作る。

それでも、本当は分かっていた。

小夜左文字はそんなたちの悪い冗談は言わないし、ましてやこんな状況で嘘をつくような刀でもない。

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