第5章 麦わら帽子とヒマワリとカメラ
「つるー!さよー!かねさだー!倶利伽羅が混ざりたいってー!」
「はっ?!」
男が叫んだ内容に、大倶利伽羅は思わず目をみはる。
ほら見ろ言わんこっちゃない。碌でもないことだ。
第一大倶利伽羅はそんなこと言っていないし、またそこに鶴丸国永がいるということが厄介であった。
刀剣三人がこちらに向かってくるのに、大倶利伽羅は立ち上がって逃げようとする。
が、ジャージの裾を思いきり掴まれそれは叶わなかった。
「おい、はなせ」
「離したら逃げるだろ」
「当たり前だ。第一俺はあんなこと一言も言ってない。」
そんなことを言っているうちに、男に呼ばれた三人がこちらにやって来る。
「なんだくり坊、遊びたかったのか」
「ちがう」
鶴丸国永がにやにやして聞くのに、大倶利伽羅は即答で返す。
大倶利伽羅のジャージを掴んだままの男のほうを見れば、鶴丸国永同様にやにやとしていた。
「小夜、ちょっと耳かしてみ」
嫌な予感しかしない。
男が小夜左文字に耳打ちするのを見て、大倶利伽羅はいよいよ覚悟を決める。
もうこれは馴れ合うしかないんじゃないかと。
「大倶利伽羅、…いや……?」
小夜左文字は言葉少なにそれだけ言って、こてりと首を傾げ大倶利伽羅を見上げた。
眉が下がりその顔は少しばかり不安気である。
大倶利伽羅はやっぱりこうなるのかとため息を吐いて、嫌じゃないと言う。
男と鶴丸国永がにやにやしているのが、見なくても分かる。
大倶利伽羅はむかついたのでそちらには向かず、小夜左文字に並んでヒマワリ畑へと足を動かした。