第5章 麦わら帽子とヒマワリとカメラ
「いやはや、小夜を使うとは主も人が悪いなあ」
ヒマワリ畑に向かう大倶利伽羅の背を見たまま、鶴丸国永が言った。
「いやいや、鶴には負ける」
男はそう返してから、もう一度カメラのレンズを覗く。
レンズ越しに写るのは、ヒマワリ畑にいる小夜左文字と大倶利伽羅だ。
「主、そろそろ遠征部隊が帰ってくる頃だ」
シャッターを切る男に、今までの成り行きを見ていた和泉守兼定が声をかけた。
男は名残惜しそうにカメラを鶴丸国永に預け立ち上がると、遠征部隊を出迎えるため時空移転装置まで向かう。
その道中で、男は提案するように呟いた。
「…明日か明後日か、出陣を休みにして昼から酒盛りでもするか」
男の呟きを拾った和泉守兼定はぱあっと顔を明るくして、それはいいなと言う。
釣られて笑顔になる男は、頭の中で予定を組みながら、早く明日か或いは明後日になればいいと心を躍らせた。
かくして、後日男の部屋にはあらゆる所に刀剣男士の写真が飾られたのだった。