第5章 麦わら帽子とヒマワリとカメラ
15
男が小夜左文字と和泉守兼定を連れて訪れたのは、ヒマワリ畑を見渡せる縁側であった。
縁側には大倶利伽羅も座っており、男もそれに倣って腰を下ろす。
作用左文字と和泉守兼定がうずうずとこちらを見つめてくるのを認めて、男は小さく笑った。
「行ってきていいぞ」
男が言えば、和泉守兼定と小夜左文字は直ぐそこにある下駄を引っかけて、縁側からヒマワリ畑へと駆けていく。
その様子を早速カメラに収め、ついでに嫌がる大倶利伽羅も撮ってやる。
すごい顔で嫌がられたが、男は気にせず笑う。
上機嫌な時の男には、何も通じないのだ。
「倶利伽羅は何でここに?」
男が問いかければ、大倶利伽羅は顎をしゃくってヒマワリ畑を指さした。
「…国永が」
その一言だけで、男には充分伝わった。
今日は内番の畑当番を大倶利伽羅と鶴丸国永で組んでいたから、恐らく大倶利伽羅は付き合わされたのだろう。
想像に難なくない。
伊達家で長いこと一緒にいたからか、この二人が一緒にいることは割と多いのだ。
言われて見れば、確かにヒマワリ畑にはこの間男が与えた麦わら帽子をかぶっている鶴丸国永がいる。