第2章 演練
薬研藤四郎と話したことで幾らか和らいだ胸の痛みに、男は伸びをしてから立ち上がった。
気が楽になれば、いくらか二日酔いも緩和された気がする。
「さてと。そろそろ準備するかな。」
「そうしてくれ。もう皆アンタを待ってる。茶碗は俺っちが片づけとくから。」
「おお、ありがとな。」
そう言ってから、男は薬研藤四郎の頭を丁寧とは言いがたい手つきで撫でた。
それに薬研藤四郎は照れつつ、やめろと言う。
男は時々、薬研藤四郎を無性に甘やかしてやりたくなる時があった。
普段自分が世話を焼かれているからたまには、と思うのだが、それさえも自分が甘やかされているのだと、男は理解するまでとは行かずとも、何となく感じ取っていた。
薬研藤四郎が食器を下げに行っている間に、男は身支度を整える。
ある程度身支度が整えられると、大広間へと向かった。