第1章 憧れ
選ばれたプリンセスは極普通の一般家庭に生まれた学校の先生らしい。
その一般の女性がプリンセスに選ばれこの国の王と結婚する。
まさにシンデレラストーリー。
いまの王様はとっても綺麗な顔立ちで凛々しく誰もが尊敬するほどの力の持ち主となっては今回のプリンセスに選ばれた女性も憧れの的。
きっと近日中に盛大な婚約パーティが開かれ国が祝福するに違いない。
(お城ではどんな物が食べられるのかな?)
私はゴミ箱を漁りながら今だ食べた事のない料理を想像する。
ここ数日まともに物を食べていないから足取りはフラフラ。耳を澄まさなくても聞こえてくる自分のお腹の音。
やっとまともに食べれそうなパンくずを見つけたけどそれはカビが生えていた。
(今日のご飯は白いパンだ!)
カビが生えていることなんか気にせず口に入れる。
私たち路地裏で暮らしている子供にとっては白いパンはとっても豪華なお食事。
一口で食べ終わってしまうほど小さいパンを食べて私は少し笑顔になった。
(今日はご飯が食べれた。明日も食べれますように。)
そう思うと近くにあるベンチに横になり身をかがめまだ聞こえてくる腹の音も気にせず眠りにつくのであった。