第1章 憧れ
『靴磨きはいかがですかー?』
汚い布切れを片手に道行く人に声をかける。
人はそんな声をかけてくる少女なんていないものとして道を行き来する。
『靴磨きはどうですか?』
その目に自分の姿が写らなくても私は声をかけ続けた。
「靴磨きしてくれ。」
一人の男性が私に声をかけてくれた。
『はい。ありがとうございます!!』
ボロボロの洋服とは言い難い布切れを頭を隠すようにフードをかぶる。
私は小さな箱に乗せた靴を磨きはじめた。
そのとき突風が吹いて私の頭を隠すフードがずれてしまった。
「…こいつリーデルだ!!!!汚らわしい!」
男性は持っていた杖で私を突き飛ばした。
その声で周りの人々も
リーデルだって。汚らわしい!
うわっ!病気とか持ってないよな?最悪だ。
突き飛ばされた私に蔑みの目を向けて口々に罵る。