第3章 夏
『昔な、まだ生斗がここに来る前、ずっと前の話じゃ。
信じられぬかもしれんが、わしは神によってここにおかれたんじ
ゃ。そして神はわしにおっしゃった。
『大樹よ、お前はすばらしい実を持っているな。
お前は正直者だ、決して裏切らない。
だからお前にこの実を預けたい。
この4つの実はな、四季を司る実だ。
それぞれ春・夏・秋・冬を司っている。
この実はとても大切な実だ。
だから決して手放してはならない。
手放せば不幸が起きる。
この世のバランスが崩れる。』
とな。
じゃからわしは何があっても守り抜いた。
そんな時のことじゃ、ある2人の若い男女がわしのもとへ来た。
それが夏と茂じゃ。
今までわしの実のことを知って奪おうとしてきた奴はたくさんおっ
たが、2人はわしの実のことは知らなかった。
病気にかかってしまった夏のために2人でわしのもとへ参りに来て
いたんじゃ。
もうじき自分は死ぬかもしれない、だからどうしても自分の生きて
いた証を残しておきたい、と。
わしの実は4つだけではなくもともとついている実があるんじゃ
が、この実はあらゆる病に効くんじゃ。』