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春冬狐~しゅんとうこ~

第3章 夏


 「あっ!それって僕が風邪ひいた時にくれたやつだよね。」

 『そうじゃそうじゃ。』

 「あれ、すごく効いて、すぐ風邪治っちゃったんだよね。」

 『うむ。わしはなこの実を夏に食べさせてやろうと思ってな、茂に取
  るように言ったんじゃが、あやつは間違えて四季を司る実の方を取
  ってしまった。
  夏と秋を司るものじゃ。
  わしは全力で止めたんじゃが、この体ゆえ動くことができなくて
  な、2人はその実を食べてしまった。
  その後、夏は病気の進行が止まったと喜んでおった。
  それから1年後、また2人が来てな、子供が生まれたと伝えに来た
  んじゃ。その子がお主じゃった。
  じゃがお主が生まれた時、すでに死んでおった。
  夏に私の寿命を延ばせたんだから、この子の命も助けてほしいと言
  われた。
  じゃが、わしの実は病を治すことはできても死人を生き返らせるほ
  ど万能ではない。
  加えて夏が食べたのは四季を司る実じゃ。
  お主の体にも負担がかかりすぎてしまったんじゃろう。
  夏にそう伝えると、夏はわしから冬を司る実を取り、わしの言葉も
  聞かずにお主に食べさせたんじゃ。
  その瞬間、一瞬だけ辺り一帯が冬にかわったがすぐに戻ってしまっ
  た。
  お主は生き返ることは出来なかったんじゃ。
  そんな時じゃ、ここに神が降りてきてくださった。
  そして夏と茂に問うたんじゃ。

 『お前たちは罪を犯した。
  この子はその代償だ。
  だが助けようと思えば助けることはできる。
  それはお前たちが夏と秋の力を手放し、そしてその力をこの子に渡
  すのだ。
  そのかわり、お前の病気の進行が再び始まる。
  この実を取り込んでしまった者は必ず運命の選択を強いられる。
  選ぶのだ、お前の命か、この子の命か。』

  そして夏はお主の命を選んだ。
  夏は神に最後のお願いをした。』

「最後の・・・お願い・・・?」
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