第4章 君だけでいいよ・・・。
『そうじゃ。じゃがな生斗、お主が力を失えばここは春の状態を保て
なくなる。
ここは闇にのまれるんじゃ。
お主はもう二度と日の光を浴びることは出来なくなるんじゃぞ?
よく考えるんじゃ、生斗。』
「それでもいいよ!沙菜が生きられるなら!!」
「よくない!!」
「っ!!」
「よくない・・・。よくないよ、生斗。
四季が見たいんでしょ?
春の桜だけじゃなくて、夏の海も、秋の紅葉も、冬の雪も・・・。
全部全部見たいでしょ?
だから生斗、あなたが生きて?
生きて四季を楽しんだらいいじゃない。」
「沙菜・・・。でも・・・沙菜、忘れられるんだよ?
沙菜の生きてた証がなくなっちゃうんだよ?
・・・誰も、沙菜のことを・・・、僕は、僕は・・・。」
「・・・じゃあ、あなたが覚えていて?」
「え?」
「あなたが私のことを覚えていて?それが私の生きた証。
それで私が存在したっていう証になるから。
あなたが覚えていてくれたら、私はそれで満足だよ。
・・・生斗、私はね、今まで何度も何度も四季を見てきた。
春の桜も、夏の海も、秋の紅葉も、冬の雪も。
何度も何度も見てきた。
だから今度はあなたの番。
大丈夫、私はあなたの中で生きてる。
だから泣かないで。」
「さっ、沙菜ぁ・・・。」
「おじいさん、あまり長引くとつらいから、お願い。」
『うむ。それじゃあ・・・達者でな、沙菜。』
「うん、ありがとう、おじいさん。ありがとう、生斗。
・・・バイバイ・・・。」
「沙菜っ!沙菜・・・沙菜ぁ・・・。
ありがとう、沙菜・・・。」
『もう泣くな、生斗。
沙菜はお主の中で生きておる。
・・・ほら、見るんじゃ生斗、雪が・・・。』
「うわぁ、ほんとだ!雪だ!
きれいだね!ねぇ、じいや!!」
『・・・。』
「・・・じいや?」
『眠っちゃった。』『深い眠りについた。』『もう起きないね。』
「っ?!じいや!!なんでじいやまで・・・。
うぅ・・・。じいや、沙菜・・・。
・・・決めたよ、僕、生きるよ・・・。
じいやと・・・、沙菜のくれた四季(いのち)を守り抜いていく
よ。」
そうだ、僕は一人じゃない。
じいやと沙菜は心(ここ)にいる。
いつまでも一緒に・・・。―――。