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大切な貴方(アルスラーン戦記)

第22章 湯船



『ナルサス様、お湯加減はいかがですか?』

扉のところから、ナルサスに声をかけた。現在住んでいるところには、小さいながらもお湯がはれるようになっている。

「うむ、いい湯加減だ」

『ようございました。新しいお着替えを置いておきますね』

そう言って、立ち去ろうとした時であった。ナルサスがに声をかけた。

「、頼みがあるのだ」

『…?はい。何でございましょうか?』



ーーー



『…では、失礼いたします』

おすおずと扉から顔を出し、足元が濡れないように服はたくしあげている。

「すまんな、」

『エ、エラムでは、いけないのですか?』

恥ずかしそうに視線を下に向けて、腰掛けているナルサスの近くにきた。

「たまには、に背中を流してもらいたいのだ」

『っ!…で、では…失礼いたします』

ナルサスは腰にタオルを巻いてはいるが、にとっては背中であっても目のやり場に困る。そっとお湯をかけ、あまり見る事もない背中を撫でるように洗っていく。

『痒いところはございませんか?』

「あぁ、もう少し力を入れても構わないぞ」

『…はい』

は困っていた。ナルサスとの情事の際でも、背中を見る事がなく妙な気分になっていた。

『流し終わりました。では、私は失礼しまs』
「まだ終わっておらぬぞ?」

『…?』

「前が残っているではないか」

『っ!?』

ナルサスは、してやったりとばかりにニヤリと笑いを見た。

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