第7章 ~真実編~
時計を見る余裕などなかった。
今が何分か、間に合っているのか、
そんな事を考えるより一秒でも早く
高尾を駅に送り届けたかった。
駅にたどり着いた。
ふと駅の時計を見た。
時刻は16時57分をさしていた。
まだ間に合う!
俺は高尾の背中を軽く叩いて言った
「早く行って来い!」
そういうと高尾はうなずき走りだした。
が、立ち止まりこちらを振り返った。
「真ちゃん!ありがとなっ!」
いつものように高尾はくしゃっと笑った。
「五月蝿いのだよ!さっさと行くのだよ!」
俺がそう叫ぶと
高尾は走ってホームへ続く階段を駆け上っていった。
真実はいつも見えていた。
でも、怖くて決して見ようとはしなかった。
真実を見ることは
全ての終わりではなく
全ての始まりだった。
ー真実編 finー