第6章 下~僕編~
「あ…真ちゃん」
「盗み聞きするつもりはなかったのだよ。」
聞かれてた。
全てが崩れていく気がした。
全部俺が壊してしまった。
「…悪かったのだよ。」
そう言って真ちゃんは階段を駆け下りて行った。
俺が謝らなければいけないのに
結局俺は謝る事が出来なかった。
それから真ちゃんとは必要最低限の事しか話さなくなった。
正確にはいつものように話す事ができなかった。
俺は佳代を避けはじめた。
また、あんな風になってしまうのが
怖くてたまらなかった。
いつしか風の噂で
佳代があまり学校に来てないと聞いた。
俺のせいだ。
そう思い自分を責めた。
俺は大切なものを二つも失ってしまった。
自分自身のせいで…。