第6章 いつつめ
「「ぷはー」」
「お風呂上りはやっぱり」
「フルーツ牛乳 だよね~」
「コーヒー牛乳 ですね」
風呂上りに自販機で購入したよく冷えた瓶牛乳。
2人して腰に手を宛て、腰を仰け反らして喉を鳴らして一気に半分ほど飲みきる。
一休みしてもう1度煽ろうとするが、視線を感じて鬼灯へと目をやると目が合う。
ほしいのかな?と思い自分の手にあるよく冷えたフルーツ牛乳と鬼灯を何度か見てからおずおずと差出小首をかしげる。
「一口あげようか?」
予想していた訳ではないのか、一瞬キョトンと間が空いた後に鬼灯もその瓶に水滴のついたよく冷えていそうなコーヒー牛乳をこちらへと差出した。
「じゃあこちらからもどうぞ」
2人して交換して、再度腰に手をあてほぼ同時に勢いよく煽った。
飲みきって鬼灯を見ると彼もこちらに目を向けてくれる。
なんだかとても嬉しくなり頬が緩んだ。
「ふふ、美味しいね」
「髭が生えてますよ」
言うと背後にあった木製の長椅子の上に置いた桶の中へと手を伸ばし手拭を取り出す。
左の手で動かぬようにと顎を押さえられ、たった今取り出した湿った手拭で私の口元を優しく拭ってくれる。
「んん~……なんか子供みたい」
「いいんじゃないですか、ネムの面倒をみるのもそう悪くないですよ」
その手拭を簡単に畳んで再度桶へと放り込んだ。
手拭と交換に置かれていた空の瓶と自分の瓶を私は手にとって、決められた置き場へと置きながらズルいとでも言うような声のトーンで返した。
「私にも面倒みさせてよ」
振り返ると2つの桶を持って待っていたので早足で向かい、桶を受け取った。
「じゃあ仕事覚えろ、ミスするな」
「よし帰ろう」
「逃げたな」
藪を突いて蛇を出してしまいそうなので、鬼灯を背にテッテケ小走りで部屋へと急いだ。