第6章 いつつめ
深夜でも人の気があり、地獄と言うのは忙しい場所である。
閻魔庁の浴場まで行くと、2人は「1時間後に」と言い合ってそれぞれの脱衣所へと別れて入った。
男湯では早い内に行った閻魔庁の宴会で一緒だった烏頭と蓬が先に居り、鬼灯に気付いて声をかける。
「あれ?鬼灯じゃん」
「よお」
大風呂に浸かり、片手を上げるのでそちらへと向かった。
その湯でかけ湯をし、空いてるスペースへと足からそろりと入る。
熱い湯に浸かって人心地つく。
「……ふう、さっきぶりです。」
「今頃2人でいちゃついてんのかと思ってた」
烏頭がニヤニヤといやらしく笑って鬼灯の肩を肘で突いてからかう。
蓬は少し困ったようにその様子を見守った。
「これからそのつもりですよ」
「ちょっとは隠せよっ」
「変わらないなあ、鬼灯は」
シレッと答えてしまうので烏頭は肩を掴んで大笑いし、蓬も楽しそうに笑っていた。
ここで会うなどと想像すらしていなかったし、表情もあまり変わらない鬼灯ではあるが案外と楽しかったようで成すがままに旧友との会話を満喫した。
「お2人はこんな時間までどうしたんですか、烏頭なんて最後フラフラだったでしょう」
「おう、吐いたらなんかスッキリしちまってよ」
横で蓬が思い出したように青褪めている。
ポンと蓬の肩を叩いて鬼灯は神妙な面持ちで諭すように声をかけた。
「……蓬さん、馬鹿は放っておいてもいいんですよ?」
「うぉい!」