第2章 ひとつめ『嘘が下手な所』
「貴女のその見え過ぎる目はメガネか何かで矯正した方が良いのかもしれませんね。それと、もう少し自制心を身に着けてください」
「自制心はあるよ!獣だったからついていっちゃったけで……」
「ふうん?」
撫でてくれていた手を組んで私を見下ろし、プレッシャーを与える。
身を縮めてそのプレッシャーに耐えた。
「なに?」
「いえね、貴女があいつを変化させたと聞いたんですよ。おかしいですね」
「……モフモフしてたもん」
言い訳が思いつかない。
困ってしまった私は作戦を変更して鬼灯に甘えるように手を伸ばして抱っこをせがむポーズをとってみる。
鬼灯は暫く威圧してはいたが、すぐに折れてくれた。
「…………、はあ。未遂でしたし今回は許しましょう。次があったときはお仕置きですよ」
「はあい」
軽々と私をお姫様抱っこし、照れくさいけど優しくて力持ちでそんな鬼灯の首に腕を絡みつかせる。
後に残ったのは風通しの良くなった部屋で放心する白澤と、黙々と掃除をする桃太郎だけだった。
桃太郎へは後でお詫びの地獄銘菓を。
白澤へは遅れた納期分の拳と、納品分の報酬とを翌日渡したらしい。