【ハイキュー!!】【R18】【短編読み切り】 A.A
第1章 A.A (1)
ピンポーン。
鳴らしながら、勝手にドアを開ける。
勝手知ったる東峰家の玄関ドアは、なぜかいつも鍵がかかっていない。
「旭?」
玄関から声をかけると、
「おー」
奥から声がした。
「あがるよ」
言いながら下駄を脱ぐ。
年に1回ぐらいしか着ない浴衣は、結構歩きづらい。
長くて広い廊下を奥に進むと、部活のジャージを着た旭がいた。
「え、まだそんな恰好してるの!?」
こっちを見て、一瞬びっくりしたような顔をする。
「あ、あの……」
「あの、じゃないよ!」
「ご、ごめんっ! 練習長引いて、そ、それからみんなでアイス食べにいくって言うからちょっと俺もつきあってたら、こんな時間……」
「そんなのいいから、早く支度してよ!」
今年の夏祭り。
一緒に行こうって前から約束してて、楽しみにしてたんだから……
「ごめん、ちょっとシャワー浴びてきていいかなぁ」
「は?」
「いや、ほら練習で汗かいて、そのまま帰ってきちゃったから」
「5分で入ってきて」
「え、5分? 5分はちょっと……別にお祭りは逃げないし、そんなに急がなくても、」
「なんでもいいから早くしてっ!」
「え、あ、う、うん……適当にテレビでも見てて」
ふわんと苦笑いした旭が、バスタオルを持って2階へあがっていく。
東峰家にはお風呂場がなぜか3つある。
1階は大きなお風呂と、その横に別にシャワーブース。
そして2階には別のシャワーブース。
旭は面倒くさいのかシャワー派で、1階よりも広い2階をいつも使ってる。
かすかにシャワーの音が聞こえてきて、ほっと詰めてた息を吐く。
そんなに急がなくても……って、旭、私の気持ち全然わかってない。
夏祭りも楽しみだけど、それは旭と一緒だからなのに。
旭と少しでも一緒にいたいから……