第2章 少年と嫌われ者
「アツっ!」
ボウッと音をたてて現れた炎はレンの鼻先をかすめる程度までのびると、パッと消えた。
「なにするんだよ…」
「ははっごめんごめん!」
右手をヒラヒラさせながら言ったその台詞に、信用性はない。じゃあよろしく!といってアルトが出て行った扉を、レンはしばらく見ていた。
この少年、レン…本名レンディーは魔法学校に通う生徒の一人。成績は優秀で、慕うものも多い。
おだやかな性格のうえ、争いの好んだりはしなかった。
アルトが面白半分でおちょくるのはいつものこと。だから彼は怒ったことなどない。友人関係に悩みを持つほど、レンディーは敏感ではないのだ。