第2章 嵐の夜のおあずけ/伊達政宗(政宗side)
俺の腕の中ですやすやと寝息をたて
眠っている愛香を抱きしめながら昨夜の事を思いだしていた。
真夜中に雷が鳴りだし
「ずいぶんと近いな」
と、呑気に考えていたら
ふと、愛香の事を思いだした。
落雷と共にこの時代へとやってきた愛香。
詳しい事は俺には分からないが、元の時代へと戻るには此処に来た時と同じ状況にならないと帰れないらしい。
(本人は帰らないと言っていたが)
運命の気まぐれでこの時代に来たが、運命の気まぐれで元の時代に帰らされてしまうかもしれない。
そんな不安がふと、俺の頭を掠めた。
いてもたってもいられなくなった俺は、愛香の部屋へとむかう。
足早に歩いていると
「愛香?」
「っ……政宗っ!!」
しがみつくように俺の胸に顔を埋めてくる。
愛香を腕の中に閉じ込めているだけで安心してしまう
(まったく、この俺がこれくらいの事で安心するとはな
格好悪くてしかたがない)
「どうした? こんな夜中に」
「うっ……ひっく……」
「泣いているのか?」
愛香も不安だったのがわかった。
その不安を払拭してやるかのように、頭を包み込むように撫でる
「顔をみせろ」
「……」
頭を振って拒否の意思表示だと?
拒否なんかさせるわけないだろ
体を引き離し、顔を無理やりあげる
「なんで泣いてるんだ?」
こいつの涙は見たくない
(鳴かせるのは好きだが、泣かれるのはな……)
目じりに溜まった涙を舌で舐めとってやると
すぐに頬が染まりだす。
そんな顔をされちゃあ……
連れて行くしかないだろ。