第9章 露天風呂
「ちゃんと肩まで浸かるんだぞ?」
「はいはい……」
「いいか? 100まで数えないと駄目だからな?」
「声をだして数えるんだぞ?」
私は子供かっ!
まったくもうっ!
秀吉が素敵な露天風呂があるからって連れてきてくれたんだけど
確かにロケーションは最高!
早咲きの梅の花が咲き乱れている中にある
露天風呂
綺麗だし、鳥のさえずりも遠くから聞こえて
静かな入浴タイム
それを満喫出来るかと思ったのに
私が1人で入浴するのが心配だからって
何も一緒に入る事はないじゃない?
「ちゃんと数えないと駄目だろ?」
コツンと私の頭を叩く秀吉は、どこか楽しそう。
まあ、もともと面倒見が良いのは知ってるし
(そんな優しい秀吉を好きになったんだけどね)
「秀吉ってさあ……」
「うん?」
「お兄ちゃんみたい」
「はあ?」
「なんか私を子供扱いしてるよね?」
「そんな事ないだろ?」
してるよ
今だってそうだよ
小さな子供をあやすように頭を撫でてくるし
「完全に子供扱いだよね?」
「ハハッ……馬鹿だなっ」
「むぅ……」
唇を尖らせてむくれていると、いきなり
真剣な顔で私を見つめてきた
瞳の奥は、まるで熱を帯びていて__