第9章 露天風呂
「ねーねー!!
雪だよっ! 雪っ」
「見ればわかるでしょ」
「んーっ!! テンションが上がるー!」
「まったく……子供みたい」
あきれたような口ぶりの家康の言葉を軽くスルーして、私はまだ誰も足跡の付いていない新雪に足跡をつけていく。
雪が降らない所に住んでいた私にとって、雪は見るだけでもテンションがあがってしまう。
「……さむっ」
「ねー!家康」
「……なに?」
「雪の妖精って知ってる?」
「?……知らない」
「教えてあげるよ!! 来て!」
家康の手首を掴み、引き寄せる。
「腕を広げて」
腕を広げるポーズをとってみせると
「なんで俺がそんな事をしなくっちゃいけないんだよ」
と、ぶつぶつ文句を言うけどちゃんとやってくれる。
やっぱり家康は、優しい。
(だから、大好き)
「……こう?」
「うん__えいっ!」
軽く家康を突き飛ばすと、そのまんま後ろへと倒れる
「……なにするの?」
私を睨みつけてくるんだけど
その顔がとっても可愛い
「ふふっ……そのまんま腕を上下に動かして?」
「__馬鹿くさい(でも、愛香の愉しそうな顔が可愛いから素直に言うことを聞いてあげるよ)」
私の言った通りに腕を動かしてくれたので
「うん!出来た!!」
「出来たって?」
家康の手を掴み起き上がるのを助けて「後ろをみて」と促がす。
「ほらっ!腕のところが羽みたいでしょう?」
ドヤ顔を決める私に
「……あきれた」