第51章 ピックアップ御礼作品【月夜に抱かれて】/秀吉
「秀吉様!こっちにいらして」
「やだー!……私の傍に来て下さいよ」
「駄目よ、私の隣に」
「秀吉様、私の膝の上にいらして」
これでもっかっていうくらいに化粧をして、綺麗な着物を身につけて秀吉に群がっている女の人たちを私は少し離れた所から見ていた。
「チッ!……ったく!ベタベタとくっついてんじゃねーよ」
「さすが秀吉様ですね。女の方に人気があります」
三成くん、嬉しそうに微笑むのはやめてよ。私は全然嬉しくないんだから。
「愛香、秀吉なんかやめて俺の胸に飛び込んで来いよ。たっぷり甘やかしてやる」
肩を抱きながら甘い声で口説きにくるな!政宗。
「おーい!私の存在をスルーすんなよ」
「愛香、そんな小さな声では秀吉には届かないぞ」
いや、デカイ声でアピール出来るわけないでしょ、光秀さん(一応、あの女の人たちにも気を使ってるんだよ)
「……先に部屋に戻ろうかな」
今日は満月。
秀吉がお月見をしようって言って宴を開いてくれたんだけど、どこからか情報が漏れてしまい近隣諸国の姫君が秀吉目当てに押しかけてきている。
まあ、秀吉がモテるのは知っていて付き合っているけどさ。
この状況はひどくない?
彼女である私は秀吉に近付く事も出来ないなんて。
絶対におかしいだろ?
秀吉はというと困りながらも、小うるさい姫君たちの相手をしているし。
「むかつくわ」
足元に転がっているどんぐりを拾い上げて秀吉の頭めがけて投げつける。
「いて……!」
見事にどんぐりは秀吉の頭に命中した!
ふん!
ざまーみろ!!