第45章 ピックアップ御礼作品【月夜に抱かれて】/家康
「ねーねー、家康」
「……なに?」
「月にうさぎがいるって知ってた?」
「は……?何それ……?」
「ほら!……よく月を見て」
夜空に輝く美しい月を指差した私。
今夜は満月。
家康から一緒にお月見をしようと誘われて、嬉しくてテンションが上がっている私。
「ね?うさぎがお餅をついているように見えるでしょ?」
「……どこが?」
「わかんないの?ほらっ!……この影になっている部分をこう繋げて……」
月に向かって指で影をなぞっていく。
そうすると2匹のうさぎがお餅つきをしているように見えてくるでしょ?
「ね?……っ……!」
てっきり私の指の動きを見ていてくれていると思ったのに。
家康ったら私の指を見ていてくれてなかった。
それどころか、家康の目にはお月様は映っていなくて……私を見ていたの……?
「……はしゃぎすぎじゃない?」
「だって……」
落ちつかないんだもん。
家康と2人っきりでお月見をしているなんて。
こんな夜遅くに家康と一緒にいるのは初めてだし、月の光りを受けている家康がとても綺麗で目のやり場に困るというか……
そわそわして落ちつかない。
(なんだか家康から艶っぽいオーラがででいるような気がしてしまうのは気のせいなの?)
「だって……なに?」
「だから……」
「だから……なに?」
普段と同じような会話をしているのに、優しく聞こえてくるのはどうして?