第40章 素直になれなくて/織田信長
「ずるい……」
「何がだ?」
「いつも私ばかりが酔わされるなんて」
「ふっ……」
鼻で笑う信長様は余裕たっぷりに微笑んでいる。
ひどい
私ばっかり嫉妬して、酔わされて
俺様な信長様だからきっと嫉妬はしてくれないような気がするから
せめて、少しでも酔わせたい
(散々もてあそばれた仕返しもこめて)
「信長様……」
擽るように指先で首筋に触れると
「っ……ンッ……」
吐息混じりの声
艶っぽくて聞いているだけで濡れてきちゃう
「貴様……っ」
潤んだ瞳で睨まれたって全然怖くない
寧ろ、胸がドキドキとしてしまう
耳にフッと息をかけると私の体から離れて距離を取ろうとするから、そのまま体重を預けて跨がる。
信長様を見下ろすなんて滅多に出来ない
「よくも私を翻弄させてくれたわね」
今になってようやく分かった。
あの姫君の件もきっとわざとだったんだって
私が嫉妬して怒り狂うのを見て愉しんでいたに違い。
「覚悟してね?」
「貴様にこの俺を酔わせる事が出来るのか__
受けてたってやる」
お互いに微笑み合い、私はゆっくりと信長様の首筋に顔を埋めた
*Fin*